こんにちは、ゆいです。
今日は、もし私が富岡製糸場のコンサルをするならこういう提案をするな、ということを考えてみました。
富岡製糸場は、2014年にユネスコ世界遺産に登録されました。
2014年は来訪者が年間130万人まで増加したものの、その後客数が激減。
3年間でピーク時の約半分のレベルにまで落ち込み、観光収入の激減によって経営が厳しくなることが予想されます。
私自身も一度訪問したことがあるのですが。
「工場見学自体は面白いのだけれど、まだ富岡製糸場の魅力を伝えきれていないな〜」というのが正直な感想でした。
駐車場から製糸場までの道中も、個人商店の様なお土産屋がまばらにある程度で、あまりお金を使う機会がない。
「せっかく来たから何か食べようかな」とか、「お土産買おうかな」と思ったものの、あまり惹かれるものがなくてそのまま駐車場に戻ってしまいました。
シルクのお土産も販売されていたものの、他のシルク商品と何が違うのかが分からなかったんですよね。
①せっかく来た観光客にお金を使ってもらう場面がない。
②「工場見学」以上のサービスやコンテンツがないと、リピート客の獲得は難しいだろうな、
というのが私が感じた課題感でした。
ビジネスにおける鉄則は、「高単価のリピート客を掴むこと」。
もし私がコンテンツを作るなら、高単価のリピート客を獲得するために、
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出来るだけ長時間富岡製糸場近辺に滞在してもらうこと
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満足度の高いサービスや体験を高単価で提供すること
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消費意欲の高い富裕層や欧米など遠方からのインバウンド客をターゲットとすること
という3点を軸に、サービスを作ります。
実は、富岡製糸場が生産していた生糸(シルク)は、世界的にも高所得者に需要が集中している商品。
富裕層向けに高単価のサービスを提供する上で、とても相性が良いのです。
シルクの消費者が最も多いのは米国、次にイタリア、フランス、イギリスなどの欧州、さらに中東の高所得者層。
一方の生産国は、中国(80%)、インド(13%)、ベトナム(5%)など、人件費の安い途上国が中心です。
実は、日本のシルクの品質や研究水準は世界一と言われています。
シルクは高純度のタンパク質で出来ており、柔らかな肌触りが大きな魅力です。
さらに、身につけるだけで肌をスベスベに整える美肌効果もあり、アトピーや肌に傷のある方向けの衣料に使用されるほど肌に優しく、抗菌効果や紫外線カット効果もあります。
シルク生地以外の用途では、防腐剤のいらない美容液、メタボ対策用のシルクゼリー、アレルギーの人でも安心して使えるUVカットクリームなど、医薬品、化粧品、食品加工の分野でも新製品の開発が進んでいます。
途上国で生産されたシルクとは一線を画す、「世界一品質の高い富岡製糸場のシルク」というブランディングで、世界中の高所得者に、満足度の高いサービスを提供します。
目次
富岡製糸場の魅力を最大化するためのコンテンツ
具体的には、以下のようなコンテンツを用意します。
① シルクの魅力を堪能できる高級ホテルやスパを併設する
② 近隣の観光資源を活用し、満足度の高い体験をパッケージで提案する
①シルクの魅力を堪能できる高級ホテルやスパを併設する
富岡製糸場に、シルクの魅力を堪能できる一泊5万円〜の高級ホテル&スパを併設します。
シルクの魅力を存分に楽しんでもらうため、館内のリネンやアメニティはすべて最高級の富岡シルクを使った製品を用意します。
部屋のベッドやシーツ、枕、肌着、ガウン、パジャマなどの部屋着、スリッパに至るまで最高級シルク。
あと、富裕層向けのスイートルームも必須ですね。一泊20万円以上の価格帯の部屋を用意します。
次に、シルクの魅力を楽しんでもらうためのスパやエステを併設します。
女性観光客が喜びそうなシルクの石鹸、シャンプーやコンディショナー、ボディクリームなどを開発。
これまでにない極上の肌心地を楽しんでもらうトリートメントを用意します。
館内で提供するリネンやアメニティ、化粧品はすべて簡単に購入できるようにしておきます。
商品のクオリティが良いのであれば、商品の魅力を伝える最適な方法は、実際にお客様に使ってもらうことです。
ベッドシーツであれば、少なくとも6〜8時間、実際にお客様に使ってもらうことで魅力を体感してもらうことが出来ます。
世の中には、10万円や100万円は誤差だという富裕層がごまんといます。
こういう人たちは、自分の生活の質を上げてくれるものや、大切な人を喜ばせてくれるものにお金を惜しみません。
こういう層に対して、いかに訪れたくなるような魅力的なコンテンツを作り、実際にサービスを体験して満足してもらうかが勝負になります。
②近隣の観光資源を活用し、満足度の高い体験をパッケージで提案する
滞在全体としての満足度を上げるために、周辺の観光資源も活用してパッケージとしての提案をします。
例えば、富岡製糸場から車で10分圏内のところに、ゴルフコースや「こんにゃくパーク」というこんにゃくの製造工程の見学や試食、こんにゃく作りを体験できる施設があります。
ゴルフ好きの高所得者層は多いので、このゴルフ場と提携して快適にゴルフが楽しめるパッケージプランを用意するのも一案だと思います。
また、こんにゃくは、美容・健康商材として、魅力的なコンテンツです。
こんにゃくは、食物繊維が豊富で、カロリーも糖質もほぼゼロ。
この特性を活かして、美容・健康意識の高い顧客向けにホテルで提供する特別メニューを開発したり、
シルクとこんにゃくを活用した食事・エステやヨガ教室などを提供する「美容・リトリートプラン」を作るのも面白いかと思います。
カロリーや糖質を気にせず、思い切り美味しいものを食べたい人には、お肉や魚介などの高級食材も用意します。
思わず人に共有したくなるような、キャッチーでインスタ映えする名物料理もあると尚良いですね。
また、富岡製糸場は、軽井沢まで車で50分、伊香保温泉まで60分、草津温泉まで90分という立地です。
これらの有名な観光地とセットにしたツアーを組んだり、送迎サービスを用意することで、滞在全体の満足度を上げ、リピートしたくなるパッケージツアーを提供します。
集客: 外国語でのウェブページの情報発信、女性向けにはSNSも活用
まず、欧米顧客向けの現地語でのウェブページを作成し、SEOで上位表示させます。
富岡製糸場は東京から車で2時間の距離。
東京に滞在予定の観光客が足を伸ばせるように、旅行メディアや旅行会社のツアーで紹介したり、海外の富裕層が購読する旅行雑誌への掲載も良いと思います。
海外向け発信で重要なのは、きちんと教養あるネイティブが執筆もしくはチェックすることで、ターゲット客に響く言葉で書くこと。
ここの外国語対応が中途半端だと、サービスの信頼度が落ちるので要注意。
女性客が思わず共有したくなるような、インスタ映えする商品や食事、ホテル館内の写真スポットを用意することで、インスタによる拡散や口コミ効果も狙います。
海外からの訪問客は、車での来場が難しい場合があるので、宿泊者向けに東京から送迎サービスを用意しておきます。
教育: 富岡製糸場及びホテル滞在で得られる体験の魅力を全面にアピールする
ウェブページで発信するべき内容は、富岡製糸場とホテルを訪問することによって、どんな最高の未来が得られるか。
提供できる最高の未来を、写真、映像、宿泊客の体験談、富岡製糸場や富岡シルクが誕生するまでの魅力的なストーリーなどを使って、表現していきます。
富岡シルクのブランドを構築するにあたり、富岡シルクが生まれるにいたった、魅力的なストーリーがあると、他との差別化が容易です。
歴史的な背景を見てみると、明治日本の急速な経済発展を支えていたのは、富岡製糸場を中心とした生糸製造であり、そこで働く若い女工さんたちでした。
実際、開国直後の明治日本が、欧米列強に植民地支配されることなく、急速な近代化に成功することができたのは、富岡製糸場を中心として生糸製造の多大な貢献があります。
生糸の輸出により獲得した外貨のお陰で、日本は海外からの急速な技術移転を進めることが出来ました。
これらの歴史的背景や、女工さんの物語を使って、富岡シルク誕生ストーリーを作っていきます。
また、ブランド価値を高めるために、ブランドイメージと認知度を高める施策をします。
日本の高級ブティックや空港の免税店で商品を販売したり、有名ブランドとコラボ商品を開発するなども良さそうですね。
販売:ウェブページから簡単に予約・決済できるようにする
ホテルの宿泊は簡単にウェブページから出来るようにします。
また、ホテルの宿泊客を、シルク製品の購入に誘導していくことも重要です。
ホテルへの宿泊客には、チェックインの際に気に入ったリネンはすべて購入できることを案内し、部屋に用意したタブレットなどで簡単に購入できるようにしておきます。
宿泊客のメールアドレスや住所を取得しておくことで、帰国後も、定期的に商品買い替えの案内や、新商品の案内を届けることができます。
また、製糸場の訪問客にも、富岡シルクの魅力を体験してもらう場を作ることで、商品購入に誘導する場を作ります。
富岡製糸場と高級ホテルを旗艦店としてブランドとして確立すれば、ネットや高級ブティック、百貨店などからも、収入を増やせるかと思います。
以上、もし私が富岡製糸場をコンサルするならどうするか、というテーマで書いてみました。
日本には魅力的な観光資源がたくさんあるので、観光資源の魅力を引き出し、国内外の人に楽しんでもらうことで、日本の経済の活性化につなげられれば嬉しいなと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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